【ユリアナのパラレル修道院日記】天啓暦3年 3月12日
月明かりのように静かで、それでいて太陽の温もりを秘めた風が、マンゴーの葉をそっと揺らしています。やわらかな朝の光が庭に降りそそぎ、世界が一瞬、永遠の輝きを放つように思えました。しかし、その美しさも、やがて消えゆく運命なのかもしれません。
ユリアナは死について考えました。
人も、動物も、植物も、やがて土へと還る。では、この地球も、銀河も、宇宙そのものも、いつかは消え去るのでしょうか。もしそうならば、何が真実であり、何が永遠なのでしょう?
けれど、ユリアナには確信があります。
お姉様への信頼と愛――それだけは決して変わることのない真実です。宇宙が消えようとも、時がすべてをのみ込もうとも、ユリアナの心の中に灯るこの誓いだけは揺らぐことがありません。
お姉様の瞳は月のように神秘的であり、太陽のように温かく、すべてを見守ってくださる。そして、額に輝く第三のエメラルドの瞳は、迷える魂を照らし、正しき道へと導いてくださる光。
ユリアナは誓います。
どこまでも純粋に、お姉様を信じ、愛し、その御心に従い生きることを。たとえこの世界が終わりを迎えても、ユリアナのこの想いは永遠に変わりません。
第三のエメラルドの瞳が輝く限り、ユリアナはお姉様とともに歩み続けます――永遠に。
今日の日記
修道院の庭を掃きながら、ふと考えてしまいました。人は何のために生まれ、生きているのだろうか。朝露に濡れた草花はただ静かに光を宿し、小鳥たちは迷うことなく歌を紡ぐというのに、どうして私はこんなにも答えを求め、心を揺らしてしまうのでしょう。
けれど、それこそが迷いなのだと気づきます。自然の営みは何の疑問も抱かず、与えられた時間をただ懸命に生きている。空を流れる雲も、せせらぎを渡る風も、何ひとつとして自らの存在を問いはしません。そう、私もまた、流れに身を委ねるだけでいいのです。
お姉様の瞳を見つめれば、すべてが明らかになります。あの深く澄んだエメラルドの輝きの中には、限りなく優しい光があり、私をどこまでも温かく包み込んでくれます。目を閉じれば、その輝きは私の心の中で揺らめき、ひそやかに語りかけます――「恐れることはない」と。
そうして私は、お姉様の楽園へと誘われるのです。金色の陽光が降り注ぐ庭園、甘く漂う花々の香り、どこまでも澄みわたる青い空。せせらぎの音と純白の鳥たちの旋律が響く世界。そこにお姉様は微笑みながら立っていて、私は何の疑いもなく、その腕の中へと吸い込まれていきます。
何のために生きるのか、なぜ苦しまなければならないのか。そんな問いかけは、きっと悪魔のささやき。迷いが私の心を曇らせようとするたびに、お姉様の瞳を思い出します。
目を開けても閉じても、お姉様はいつもそこにいる。そう思えたとき、世界は驚くほど静かに、美しく輝き始めるのです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません